想いが届くとき

 使用していたPCアドレスを閉じるにあたり、友人たちと遣り取りしていた数年来のメールを再読。それぞれの時期で悩んでいた事を、懐かしく思い出した。思春期の息子への対応に手こずっていた頃の文面には、「テスト期間に入り、家の中が殺伐としています。毎回のように息子が荒れるのが嫌。」といった記述が。今は亡き母と同居していた折、彼女が大切に保ち続けてきた城(ミサワの家)の壁に、穴を開けたなんてこともありまして・・・

 「背中でゴリゴリ押していたらなってしもた。」というのが、当時の息子の弁。本当かね?パンチか蹴破り故の穴では!?と疑う気持ちもあったが、本人が言うのならと、それ以上追及しなかった。(弁償については、話し合った) 修繕にきた業者さんが、「絶対嘘やで」 クスクス笑いと共にもらした言葉に、「ですよねぇ。。。」 と相槌を打ちながら、どこかにまだ信じたい気持ちがあった。やがて時が過ぎ、一家団欒の和やかな空気の中、父親から過去の真相を問われた息子は、いともアッサリ己の所業を白状。ああやっぱりと思いつつ、ショックだった。まったく親バカとしか言いようがないが。

 あの頃の私の言動は、逐一彼へのプレッシャーになっていたらしい。思いの外繊細な一面が、息子にはあった。しかしそうした部分は、幸か不幸か周囲に悟られておらず、打たれ強いトカ、大人じみた対応で上手くかわしている、と受け取られていた。自称『ガラスのハート』のSくんの如く、仲間に気遣われるタイプじゃなかったので、悶々とした想いを、一人抱え込むこともあっただろう。「ホンマに傷つき易い人間は、そうした弱みを、絶対に口にしない。」と言ったママ友がいたが、私も同感だ。

 テスト結果や進路決めに纏わる所感も、ちょっとした指摘が全否定みたく響き、猛烈な反発が返ってくる。相も変わらずiPodを手放さない息子にヤキモキして、どういう選択肢があるのか、一緒に探ろうとすると、「めんどくさい」。自分のことなのに、何でそんなにめんどくさがるのよ~。3年間の高校生活が、かかっているのよ!各学校の特色を調べ、どこが自分に適しているか、もう少し真面目に考えてもいいんじゃない?と思うのだが、伝わらない。(こっちだって、めんどくさいのだ)

 それでも、できるだけ冷静に話ができるよう、頑張って口にする。良い感じで進んでいるとホッとしかけると、途中からこちらを攻撃し始め、たまらなくなって中座。春からの一連のぶつかり合い(iPod購入、都市部への外出、女の子との交際etc・・・をめぐって)で、心が疲れている所為もあり、息子の言葉が胸に刺さる。自信喪失→ちょっと回復→接触→自信喪失。その繰り返し。彼にとって私は、抑圧する人間でしかないのか。「そうじゃないんだけどなぁ」と言いたいのだけど、うまく言葉にできず、別部屋でしんみり。そんな日が続いた。

 様子を見に来た娘が、話を聞いてくれたが、打ち明け過ぎても、今度は彼女の心の負担になる。「私、いい子にならなきゃっていうプレッシャーを感じるんだけど」 「花ちゃんの場合はちょっと違う」 「どう違うの?」 「そこまで期待してへん。」 「こらーっ」 ひょんな展開で、息子が放り出しているドリルを解き始めたこともあった。「スゴイやん!」 と誉めたら、嬉しそうに 「お兄ちゃんができなかったとこクリアしちゃったわ。」 こうして連立方程式や確立の問題に、二人でチャレンジ。パターンを考え・・・「できたー!」 と問題を解くうち、抱えていた心のモヤモヤが、ふーっと晴れたりも。(数学ならではの現象かもしれない)

 優等生の兄 VS 出来の悪い妹といった認識でいる息子が聞いたらコケるだろうが、その小さな瞳で、家族の一部始終を眺め続けていた娘は、陰ながらよくフォローしてくれていた。ダメ母が息子の事でメソメソしているのを知っていて(苦笑)、二人がちゃんと会話できているかを、気遣ったりした。和やかに場が収まると、少し間をおいてからやって来て 「よかったね」 と言う。それから、クラスの男の子への淡い感情をポツポツ語っていくのだが、娘の恋バナは微笑ましくて心が和んだ。

 やがてその娘も思春期に入り、つんつんした棘を身にまとうようになった。兄の時の体験を鑑みてか、その矛先が私に向くことはほぼなかったが、代わりに部活顧問の先生へ、可愛げのない態度をとり続けた。今となっては、どうしてあそこまで先生を毛嫌いしたのかわからない、などと言う。当時には、当時の理由があったのだが、気にならない程度の存在になって、よかったのかな・・・(先生には申し訳なかったが)。そうして高校へ通い始めると、兄と同じく、そういった棘もなくなっていった。

 結果的に息子も娘も、念願の高校に合格という形で、親のテリトリーから離れる選択をした。自然、私たちの間には、一定の距離が保たれる形となった。心配していた状況の中、頑張って自身の夢を叶えたことで、もっと本人を信頼していいかなという気持ちが生まれたけれど、やはり伝えたい想いは、大なり小なりある。今の自分の立場だからこそ見える、’こうすればいいのに’という部分も・・・。が、そうした助言は、本人が身を持って痛みを感じない限り、響き辛いのも事実。文明の利器を手放せないのも、もったいない凡ミスも、「めんどくさい」という意識も相変わらずで、ホラやっぱり!そこで躓いているじゃないと感じるのだが、黙って見守っている。

 想いが届くとき- 本人に伝わるのは大分先だろうと、あの時友人は言った。親と子の関係もまた、果てしのない物語である。



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