虹をつくる装置<山本卓郎>

昨年来、本業の傍ら「虹をつくる装置」の開発に熱中しています。


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装置と言ってもメカニカルなものではなく、一種のインスタレーションのアイディアだと思って下さい。上の写真は実証用のモックアップなのですが、虹色のグラデーションが発生しているのがお分かり頂けるでしょうか。

実はこれ、「三原色だけを使ってダイナミックに変化する虹をつくる」という試みなのです。つまり何かを虹色に塗り分けるのではなく、視覚のトリックを使うことでどんどん変化する虹をつくり出そうとしています。


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上はインスタレーションの完成予想図です。アーチ状になっていて、アーチの内側になだらかな虹色が発生しています。


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違う角度から見ると、グラデーションの様子が変化しているのが分かります。

このアーチは、三原色で縞状に塗り分けられた透明なシートによって作られており、そのすぐ下にはやはり縞状の白いルーバー(日よけ)が配置されています。

これら二つの縞の位置は同心円を中心に同調していますが、これを見る視点の位置が中心からズレることによって同調がわずかに破れ、ルーバーの背後に隠れて見えなくなる三原色の色が少しずつ変化し、グラデーションがアーチの内側に発生します。


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この三原色によるグラデーション、すなわち虹は視線の位置が変化するにつれ変動します。近くから見るとただの三色のシマシマですが、少し離れるとグラデーションに見えるようになり、その模様は観覧者の移動に応じて様々に変化します。


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アーチをくぐって見上げると、このように。

その不思議さに観覧者が思わず立ち止まり、子供達は駆け回って虹の変化を確かめたくなる、そんな人の動きを誘うインスタレーションを作りたいと思って考案しました。

とはいえ、原理とCGだけではなかなか人は納得してくれないもの。自分自身も一抹の不安を感じていたため、先日実証用に1/2スケールの部分モックアップを製作してみました。


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如何でしょうか。個人的には、想像した通り鮮やかに色が出ているので、とても満足しています。また、アーチを外から見たときには単なる三色のシマシマに見える筈だったのが、ルーバーから反射した光のせいでここでもグラデーションが発生していたのは嬉しい驚きでした。やはり、なんでもとにかくやってみるものですね。

このインスタレーションについては現在、実現の場を求めて各方面に売り込みを行っているところです。是非フルスケールで実現させて、皆さんに実物をお見せしたいものですね。期待してお待ち頂ければと思います。

なお、山本卓郎建築設計事務所のブログでは、このアーチに至るまでの失敗談なども紹介しているので、よかったら是非そちらもご覧になって見て下さい。

http://www3.ocn.ne.jp/~yamamotj/Blog2007/blog201102.htm



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