八ヶ岳・仮称Y-HOUSE計画<山本卓郎>

明日から、北陸の冬を体感するために金沢に出張致します。

滞在先からブログ更新が出来れば、冬の金沢の風景をレポートしようと思っています。兼六園の雪吊りや、真っ白な21世紀美術館なんかの写真をお見せ出来るといいですね。


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思えば、このところ雪の降る地域での計画が続いています。金沢と共に現在進行中のプロジェクトは八ヶ岳・仮称Y-HOUSE計画です。こちらは雪が降るだけでなく、厳しい寒さや落葉が問題になってくる土地が舞台です。

この計画のテーマは、「音楽ホールつきの山荘」です。建主さんはご夫婦ともに音楽を演奏される方々で、ウィークエンドハウスの計画に当たっては練習や発表の場を持つことが求められました。

敷地のある八ヶ岳山麓は本州では最も気温の下がる地域の一つで、雪や凍害に強い勾配の大きな屋根が欠かせません。

そして伝統的な勾配の強い屋根型を載せる為には、建物の平面形もシンプルで、幾何学的に屋根の載せやすい形をしていなければなりません。これは近代建築がフラットな屋根を得たが故に複雑かつ自由な平面を可能としたことの逆だと考えて頂ければ分かりやすいかと思います。

また、ホールのある山荘という性質上、この家には家族以外にも様々なお客様が来られることになります。このように家族ではない人々のために宿泊の場を用意する必要から、建物は空間ごとにある程度心理的距離のある、ややバラッと離散したような形式になることが予想されます。

一方、敷地はなだらかな勾配を持つものの全周を森に囲まれていて方向性がはっきりせず、設計の手がかりを見つけづらい土地です。このような土地であれば、建物自身も敷地にふさわしい全方位性が求められると考えました。


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このような前提を踏まえ、建物の機能を五つにまとめてそれぞれを単純な長方形平面に納め、各長方形の角をぐるりとつないで一周させることにしました。

これによって各ユニットは屋根を載せやすい単純な形でありながら、全体としては機能ごとに相応の距離をとり、それぞれが別々の方向を向きそれぞれの景色を持った全方位的な建物になります。同時に全体としては一つの閉じた輪も構成しており、完結した求心力ある建物であるとも言えます。


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室内のスケッチです。各ユニットごとに空間がまとめられながらも、相互にゆるいつながりを持っていることがお分かり頂けるでしょうか。


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また、建主さんからの要望には何期かに分けた建設を可能とすることが盛り込まれており、将来の増築や機能拡張に対応する必要がありました。

この構成では各ユニットがそれぞれ独立した機能を持つため、追加したい機能があればその部分だけを放射状に伸ばすことで拡張が可能であり、建物の本質的なあり方を変えることなく増築の要望に応えることが出来ます。屋根もまた、自然に延長しやすい形になっているのがお分かり頂けると思います。


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このプロジェクトは既に基本的な設計を終えており、現在建設のスケジュール調整を行っているところです。是非一日も早く竣工させて、皆さんにお目にかけたいですね。ご期待頂ければと思います。

なお、思うところあって今回はデジタル・スケッチを用いてプロジェクトを紹介しましたが、事務所のホームページでは手描きスケッチを紹介しています。良かったら、こちらも是非ご覧になってみて下さい。

http://www3.ocn.ne.jp/~yamamotj/homepage/yhouse1.htm
http://www3.ocn.ne.jp/~yamamotj/Blog2007/blog201102.htm


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