千葉の住宅では、曲面の壁がレンガ積みになる予定です。
童話の「三匹のこぶた」にも登場する、誰もが知っているだろうレンガという身近な建材は、オーストラリア等、海外からのものが多く市場に出まわっています。じゃあ国産は、というと、今や、北海道、愛知、北九州等に数ヶ所の製造所を残すのみになっているのだそうです。東京駅や日本銀行等のレンガの製造・供給によって、建築の近代化を支えてきた「日本煉瓦製造会社」も、残念なことに2006年に廃業し、明治から続いた120年の歴史に幕を下ろしていました。
そんな、ちょっとさびしい昨今のレンガ事情ですが、今回は、愛知県西尾市のレンガが使われることになりました。

レンガのテストサンプル(サンプル用に、薄くスライスしたもの)
壁にレンガを使うと決めていたこともあり、昨年の夏に訪れた台湾の台南市では、建物を見ても、目がいくのは、ついつい、レンガの壁ばかり。台湾の古都である台南市では、コンクリートが目に付く台北とは違って、街中でもよくレンガの壁を見かけます。

レンガ壁:台南市内

レンガ壁:台南市内
台南、そして、台湾で一番古いレンガの建物はというと、17世紀にオランダ軍によってつくられた要塞(「安平古堡」)だということでした。

安平古堡の壁面
台湾には漢人が持ち込んだレンガもあるので、日本ほどではないにしても、最初のレンガが西洋からとなると、レンガという建材、あるいは台湾においても西洋イメージがつきまとってしまうものなのかも知れません。しかし、洋の東西を問わず、古くからひとの手で大地に積み上げられてきたレンガという建材は、やっぱり、最もポピュラーでかつプリミティブな組積の材料のひとつには違いない、とも思うのです。
ちなみに、この安平古堡のレンガ、当時は積み上げるのにモルタルではなく、何と、もち米が使われていたのだそうです。